パリオランジュリー美術館のモネの連作「睡蓮」

パリ オランジュリー美術館の見どころ モネの「睡蓮」展示室は瞑想部屋?

パリでずっと行きたいと思っていたオランジュリー美術館にようやく行くことができました。パリには大小様々な美術館があり、それぞれに特徴がありますが、オランジュリー美術館といえばモネの「睡蓮」があまりにも有名です。

夫は「睡蓮」にあまり興味がないということで、夫と合流する前に単身オランジュリー美術館に足を運びました。

パリオランジュリー美術館 モネの「睡蓮」連作⑤

オランジュリー美術館とは(略歴)

オランジュリー美術館は、世界遺産にも指定されているチュイルリー公園内にある美術館です。ルーブル美術館やオルセー美術館と比べると小ぶりな美術館ですが、印象派とポスト印象派の作品を中心に展示しており、モネをはじめとした印象派の作品が好きな人にはたまらない美術館となっています。

「オランジュリー」の名前が示す通り、建物自体はもともとはオレンジの木を栽培するために建設されたもの。実はあのナポレオン3世の命により、1852年に建てられました。

Orangery(:オランジェリー)、Orangerie(:オランジュリー)は冬場の寒さが厳しい北ヨーロッパで17〜19世紀に建てられた建物のことで、貴重なビタミンC源となっていたオレンジなどの木を皇族や貴族がこぞって屋内で栽培していました。

オレンジ栽培が目的であったため、セーヌ川沿いの南側は少しでも多くの日差しが入るよう全面ガラス張りとなっている一方で、北側は北風が入ってこないようほとんど窓がない設計となっています。

パリオランジュリー美術館 入口
入口はオレンジ栽培をしていた頃の名残でガラス張りです

1870年の第二帝政終了に加え1871年のチュイルリー宮殿の火事があったことで国の管轄となり、その後は1922年までコンサートやアート展示、ドッグショーなど一般向けに使われることになりました。

第一次世界大戦後の1921年あたりから状況が変わり、この建物は存命中の芸術家の作品を展示するようになったそう。当時まだ存命だったモネは、ロダン美術館に展示する目的で「睡蓮」の連作を描いていましたが、当時の議会議長であったクレモンソー氏の希望によりオランジュリーに展示されることになりました。

その結果Musée Claude Monet(クロード・モネ美術館)として1927年にオープンしましたが、数ヶ月後にモネが亡くなったことで現在のMusée National de l’Orangerie des Tuileries(チュイルリー公園の国立オランジュリー美術館)という名称に変更されました。

オランジュリー美術館の見どころ

さて、ここからはオランジュリー美術館の見どころをご紹介します。オランジュリー美術館の展示室は1階と地下1階に分かれており、1階にモネの「睡蓮」の連作、地下1階にその他印象派とポスト印象派の作品が展示されています。

モネの連作「睡蓮」

モネは生涯に数多くの「睡蓮」を描いており、日本の美術館でもそのうちの何点かを見ることができます。しかしここオランジュリー美術館で鑑賞できる「睡蓮」は別格!

パリオランジュリー美術館 モネの「睡蓮」連作①

高さ2m 、全長91mの8枚のパネルが楕円状の展示室2部屋に渡って展示されています。

パリオランジュリー美術館 モネの「睡蓮」連作②

展示室が楕円状なのはモネの意向によるもので、「永遠」を表す意匠として取り入れられたのだそう。またこの2部屋は長軸同士が同一直線上に来るように向き合って配置されているのですが、その直線はと東西の線に完全に重なるのだそうです。

パリオランジュリー美術館 モネの「睡蓮」連作③

照明も同じくモネ本人のこだわりにより間接照明が採用されています。

パリオランジュリー美術館 モネの「睡蓮」連作④

「睡蓮」の連作を堪能するためだけに作られたこれら2つの部屋は、モネの遺言により「鑑賞者が作品に没入できる」ことを第一に設計されています。

パリオランジュリー美術館 モネの「睡蓮」連作⑥

またモネはこの「睡蓮」を観ながら「瞑想をすること」を勧めており、そのため睡蓮の部屋は他の美術館と比べてとっても静か。みなより一層小声で話すことを意識していて、とても静謐な空気が流れていました。

パリオランジュリー美術館 モネの「睡蓮」連作⑦

中央にベンチが用意されているため、目を閉じて長い時間座っている方も数名いらっしゃいました。

多くの印象派画家の作品が展示されている地下1階

さて、モネの「睡蓮」を堪能した後は地下1階に降りてみます。ここには印象派、ポスト印象派の作品の他、モダンアートの作品が一部展示されています。

パリオランジュリー美術館の地下展示室

オーギュスト・ルノワール

印象派の作品の中でも特に鑑賞できて嬉しかったのが、ルノワールの「ピアノに寄る少女たち」という作品。10年も前にニューヨークメトロポリタンで別の1枚を観ていましたが、オランジュリー美術館に収蔵されているのはオリジナル版。

パリオランジュリー美術館の地下展示室 ルノワールの「ピアノに寄る少女たち」
ルノワール「ピアノに寄る少女たち」

教科書などによく取り上げられているのは、オルセー美術館やメトロポリタン美術館に収蔵されている色味が落ち着いた最終盤です。オランジュリーの「ピアノに寄る少女たち」は完成版よりも色彩豊かで、近くで見るととてもキラキラしていました。わたしはこちらの方が好きです。

ルノワールといえば、こちらの「ピアノを弾く少女たち」も同じくらい有名ですね。

パリオランジュリー美術館の地下展示室 ルノワール「ピアノを弾く少女たち」
ルノワール「ピアノを弾く少女たち」

セザンヌやマティスも

写真には残していませんが、そのほか印象派のセザンヌやポスト印象派のマティスなど、日本人にも馴染み深い画家の作品が多く展示されています。

オランジュリー美術館の料金

オランジュリー美術館のチケットは、当日現地で購入することもできますが、ホームページでは事前のオンライン予約が強く推奨されています。

入場チケット

チケットの種類はかなり多くあるのですが、観光で訪れる場合多くの人が「大人通常料金」もしくは「子供料金」に該当するかと思いますので、ここではその2つのみ掲示します。

  • 大人通常料金(18歳以上):12.5€
  • 17歳以下の子供:無料

そのほか在住条件などなしに日本人にも適用されるものとしては、「毎月第一日曜日の無料開放デー」があります。パリのほとんどの美術館が無料になる日です。

オーディオガイド

オーディオガイドは入場チケットに含まれていることもよくありますが、オランジュリー美術館では別料金となっています。

  • オーディオガイド(大人用):5€
  • オーディオガイド(子供向け):3€

なかなか高いですが、日本語も当日選択することができますので、わたしはあってよかったなと思いました。オーディオガイドの貸し出しカウンターは貸し出しだけを行なっている感じだったので、こちらも事前にオンライン予約をしておくとスムーズかと思います。

パリオランジュリー美術館 モネの「睡蓮」連作⑦

オランジュリー美術館の営業時間

オランジュリー美術館の営業時間は毎日9:00〜18:00で、火曜日が定休です。予告なく変更される可能性もありますので、事前にHPをご確認ください。

オランジュリー美術館のカフェとお土産ショップ

1階と地下1階の間の踊り場にカフェとお土産ショップがあります。カフェはあまり大きくなく、ほとんどがカウンター席。お土産ショップも小さめですが、文具や傘、ポストカードや絵画のコピーなどかなりの品揃えでした。

パリオランジュリー美術館 モネの「睡蓮」連作⑧
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7年間の会社員生活ののち、2023年からフリーランス。会社員時代は年に5~8か国を旅行。フリーになってからは長期滞在で暮らすように旅行中。2023年6月バンコクに新築コンドを購入。最新の旅の写真はInstagramで投稿。

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