「ヨーロッパ文化遺産の日」で無料公開されていたフランス経済財務省(Le Ministère de l’Économie et des Finances)に行ってきました!日本の経済産業省や財務省の職務内容とはかなり職務範囲が異なっており、実際に省内で働かれている方々から直接伺ったお話がとても興味深かったです。BERCY(ベルシー)の愛称で親しまれているフランス経済財務省は、無料公開されているパリ市内の施設の中でも毎年超人気のようで、私も大大大満足!ゆっくり回っていたら2時間も経っていました。今回のパリ旅行の中で一番行ってよかったなと思っている場所です。年に2日しか公開されていないので難易度高めではありますが、ぜひ来年以降チャレンジしてみてください!
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ヨーロッパ文化遺産の日とは
ヨーロッパ各国で毎年、9月の第3土曜日・日曜日に行われる文化の祭典で、普段は非公開の建造物が一般に無料で公開されます。2022年は9月17日・18日の土日に行われました。パリ市内ですと、大統領官邸であるエリゼ宮やユネスコ本部が毎年大人気のようです。確かに私が前日に見た時には予約できるチケットがもうなかったので、これらに参加したい方は早めの行動が必要そうです。結局私は、17日にホテル近くの在仏リトアニア大使館、18日に今回ご紹介するフランス経済財務省に行ってきました。
フランス経済財務省の一般公開日に当日飛び入り参加
フランス経済財務省は、リヨン駅(Gare de Lyon)から歩いて5分ほどの場所にあります。庁舎がベルシー(Bercy)橋近くにあるため、地元の方からはBERCYの愛称で親しまれています。フランス経済財務省に行こうと思った理由はバスティーユの方へ行く用事があり、たまたま近かったから笑(でも行って大大大正解でした!)。入れる建物や予約の有無などについて説明してくれているこちらのサイト(フランス語のみ)がとっても便利でした。
予約なしで当日11時前に庁舎に着いた私たちですが、列の最後尾でゲストを整理している担当の人に「予約ないんですが入れますか?」と訊くと、その場で名前を聞かれ持っていた端末で登録してくれ、11時の回にすんなり入れてもらえました。
先ほどの登録だけで入れるのかと思いきや、荷物検査後に正式なチケットチェックがありました。他の人はみんなチケットを見せていたのですが、私たちはもちろん持っていなかったので「さっき登録したばっかりで紙のチケットがないのだけど」と言うと「IDカードを見せて」と言われました。パスポートを見せると、先ほど登録した名前と照合しているようで、すぐに中へ通してもらえました。
フランス語のアルファベットは英語のアルファベットと同じですが、発音が異なる文字が多くあるので登録時は綴りに間違いがないかよくチェックした方がよさそうです。スタッフの方も基本フランス語対応でしたので、フランス語でいける方はフランス語で名前を言ってみましょう。
経済財務省の取り組みパネル展示
先に進むとオーディオガイドとパンフレットを渡されました。ただしオーディオガイドはフランス語のみで英語もなかったので、少し聞いてみて断念。私のフランス語レベルではあまり理解ができず…笑(会話と違って文脈がわからないリスニングが一番難しい泣)。
この日は子どもも多くやってきていたのですが、子ども向けのクイズ付きパンフレットなども用意されていて、回っている最中にもご両親やご祖父母の方々が優しく教えながら子どもたちが空白を埋めている姿を多く見かけました。若い頃から楽しみながら行政に興味を持てるようにする取り組みが本当に素晴らしいなと思います。
生態系保全が経済財務省の担当?
最初の建物の中に入ると、経済財務省配下の各担当局(Direction)がパネル展示を行なっていました。一番最初に迎えてくれたのはまさかの養蜂に関するパネルで、私はすっかり「???」状態。普通に考えると日本で言う農林水産省の管轄だと思うのだけど、、、
ということでパネル前にいた職員の方に率直に聞いてみました。すると、「生態系(エコシステム)を維持することは経済の根幹で、そのために養蜂はとっても大事。だから経済省で担当しているの。他にもセーヌ川の水鳥たちの環境維持も行なっているし、省内ではあっちで畑もやっているのよ」とのこと。
ここでとても納得したのが、ヨーロッパの方々ってものすごくミツバチに寛容なんですよね。パン屋さんやお菓子屋さんの店内でも甘いものを求めてブンブン飛んでいるし、街を歩いていても普通にミツバチがやってくる。だけど誰も逃げないし叩かないし、当たり前に受容している。そのベースにはこのような考え方があるのかなと納得。
女性職員比率は驚きの…?
次のブースは省内の女性活躍に関する展示でした。フランス経済財務省ではなんと、職員のうち55%が女性なのだそう。単純な比較はできませんが、2020年度の日本の経済産業省の女性職員割合が25.2%ですので、男女平等に関してフランスの経済財務省は相当先を行っています。「一歩ずつ変えてきたの」と誇らしげに語ってくれた職員の顔が忘れられません。
文書アーカイブのお仕事もあります
隣のブースでは、古い時代の紙幣を見せてもらいました。どちらも250と書いてあります(単位はフランかしら…?)このうち1つは本物で、もう1つは偽物。この紙幣は18世紀後半ごろのものらしいですが、どちらも透かし付きの精巧なもの。この時代にこれだけのクオリティのものが作れているのがすごい。
もちろんお札だけじゃなくさまざまな行政文書を保管しているとのことでしたが、200年以上も前の偽札まで保存しているなんて驚きですよね。
文化遺産の保護・管理も経済財務省の仕事
続いてのブースは、フランス国内の遺産保護のお仕事に関する展示でした。最初どんな仕事なのかわからなくて私がパネルを読んでいると、おじいちゃんと言って差し支えない白髪の男性職員が話しかけてくれて、パンフレットを見せながら怒涛の説明をしてくれました。有形・無形遺産の発見、鑑定、維持、修復などを行なっているそうです。正直自分では30%くらいしか理解できてないと思うのですが、理解した中で質問をしたのがよかったみたいで、楽しそうに話してくれるおじいちゃん。自分が担当している仕事について語り終えると、次は小さめの文化遺産 (Petit Patrimoine)の担当をしている女性を紹介してくれました。
女性職員の方によると、ヴェルサイユ宮殿などいわゆる大きな文化遺産だけでなく、フランスには後世に残すべき小さな遺産もたくさんあり、一般から寄付を集めてそれらの保護をしているとのことでした。今は一時的に、数年前に焼けてしまったノートルダム大聖堂の寄付もこの部署で集めているとのこと(普段は大きい遺産なので対象外)。個人でもホームページで10€などの少額から寄付を行えるそうです。
科学研究施設の統括
次の部署でようやく英語を話してくれる職員の方に出会いました。この部署では、フランス国内の研究施設の統括や、麻薬などの密輸規制を行なっているそうです。フランスでは一般の郵便で大麻が取引されることがあるらしく、郵便物の検査などを行なっているのだそう(もしかして日本でも?)
予算局
パネル展示最後は、予算局のブースでした。大人たちが一番熱心に職員さんに話しかけていました。有権者からすると確かに一番気になるポイントですよね。
経済財務省の豪華な会議室めぐり
パネル展示を抜けると、フランス国旗とEU旗が交互に立てられている中庭に出ました。軽食トラックでハンバーガーやドリンク(有料)を楽しむこともでき、お昼時は結構な人で賑わっていました。
お昼を食べない人はそのまま奥へと進み、別の棟へ。こちらでは様々なタイプの会議室を見ることができました。
まずは広めのお部屋。説明がなくなんのための部屋かは分かりませんでしたが、壇上に登って記念写真が取れました。後ろには音響・照明ブースもあったのでプレス用かな?
ここからは外にはオープンにされない会議室が続きます。大会議室から、会社のMTGルームのようなお部屋まで大小様々。右下の写真はオンライン国際会議用のお部屋です。
担当大臣の執務室めぐり
会議室の建物を出てまた別の建物へ移動します。エレベーターで一気に7階へ。7階の一番眺めのよい部屋は、EU首脳陣の会議で使われるそう。白い壁は可動式となっており、取り外して一連の部屋にすることも可能です。食事をしながらのこともあるようで、ツアー時にはダイニングも設(しつらえ)られていました。
6階から下は、フランス経済財務省の各担当大臣それぞれの執務室めぐりとなります。どのお部屋もとーーーってもおしゃれ!「この部屋は○○担当大臣の部屋」と決まっているようで、大臣を継続する場合も担当する部署が変われば部屋も変わる模様。
最初は中小企業、商業、伝統工業、観光を担当している大臣のお部屋です。今の大臣はちなみに女性。6階なので一番眺めがよき。すべての担当大臣部屋には秘書室が併設されています。
続くお部屋はなんと、フランス経済財務大臣のお部屋!(そのほかに産業及びデジタル主権も担当しているよう)。薄々お気づきの方もいらっしゃるかもですが、フランスの省庁では、「大臣(Ministre)」の下に、カテゴリごとに「担当大臣 (Ministre déléguée chargée)」が任命されているため、複数の大臣がいるように見えますが、このお部屋の主がフランス経済財務省で一番偉い人です。全面ガラス張りの解放感のある執務室で、個人的にも「働くならここがいい!」と思った部屋でした。
次のお部屋は予算局長室。「ナポレオンスタイル」と呼ばれるデザインとなっており、こちらにある家具は以前はルーブル美術館に収蔵されていたそう。歴代の予算局長が代々受け継いでいるそうです。このお部屋だけ警察の方が警備していました。傷をつけたら…と思うと怖くて仕事ができない笑。
階下にはデジタル担当大臣部屋と産業担当大臣部屋があります。お部屋自体は広いですが、これまでの部屋に比べると落ち着いた感じ。
産業担当大臣部屋には掲示板が置かれており、「もし私が産業担当大臣だったら?」という問いが立てられていました。子どもたちも積極的に付箋に書いており、なんと18日の夕方には実際に大臣が休日出勤でこれを見に来ている様子がInstagramのストーリーで流れていました。フランスすごい!
経済財務省その他の機能
7階から1階まで降りてきてこれで終わりかなーと思いきや、最後にちょっとした見学ポイントがありました。
1つ目は省内の郵便網。地下に設けられた5,500メートルのレールが5つの建物をつなぎます。450の小さなワゴンが毎秒1mのスピードで動いており、省内117箇所に書類を届けます。
2つ目は省内の小さな畑を見に行きました。先に書いた通り、フランス経済財務省では生態系(エコシステム)の保全業務を行なっているので、その一環として身近に緑を感じられるよう野菜やハーブを作っています。省内で採れたハーブを使ったコーディアルの試飲をさせてもらいました。
そのほかにも特定の時間から麻薬探知犬の実演があったり、小さな子供がポリス用に見える大型バイクに乗せてもらっていたりと、ツアー全体を通してインタラクティブで飽きない仕掛けがたくさんされていました。
主に地元の方をターゲットとしたイベントですが、フランス語が決して上手ではない私にも全力投球でたくさん説明をしてくださり、とても勉強になったし興味深かったです。ここまでのオープンさはなかなか難しそうな気もしますが、行政を身近に感じられるイベントが日本でもあったらいいのになと心から思いました。来年以降この時期にパリに行かれる方はぜひ参加してみてくださいね!
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7年間の会社員生活ののち、2023年からフリーランス。会社員時代は年に5~8か国を旅行。フリーになってからは長期滞在で暮らすように旅行中。2023年6月バンコクに新築コンドを購入。最新の旅の写真はInstagramで投稿。
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