ベルヴェデーレ宮殿上宮の紹介記事

ベルヴェデーレ宮殿上宮美術館を徹底紹介!クリムトやナポレオンの有名絵画が目白押し

歴史的建物や世界的に有名な作品を有する街ウィーン。コンパクトな市街を歩いていると急に現れる宮殿群にとても驚きます。ベルヴェデーレ宮殿もその1つ。ウィーン中央駅から徒歩10分ほどの好立地に位置しており、この先に本当に宮殿が…?と半信半疑ながら幹線道路を歩いていると突如出没します。美術館としてはコンパクトですが、混みすぎておらず、また小さいながら多数の有名作品が展示されており、個人的にはかなり好きな美術館でした。特にクリムト好きの方は必見です!この記事ではそんなベルヴェデーレ宮殿をくまなくご紹介します。

ベルヴェデーレ宮殿には上宮(Upper Belvedere)ならびに下宮(Lower Belvedere)それに現代アートを楽しめるベルヴェデーレ21の3つの建物があるのですが、今回わたしが訪れたのは上宮のみ。クリムトの作品を見ることが主な目的だったからです。下宮については本ブログ記事でカバーしておりませんので、その点を踏まえてお読みいただければと思います。

ウィーンのベルヴェデーレ宮殿上宮

ベルヴェデーレ宮殿とは

ベルヴェデーレ宮殿の歴史は、18世紀にオーストリアのサヴォワ公オイゲン公が自身の夏の離宮として作らせたことに始まります。オイゲン公の死後、かの有名な女帝マリア・テレジアがこの建物全体を取得し、ベルヴェデーレ上宮を王族コレクションの展示場として整備したことで、美術館としてのベルヴェデーレ宮殿が始まりました。

ウィーンのベルヴェデーレ宮殿上宮から見える庭園
ベルヴェデーレ宮殿上宮から見た庭園。向こうに見えるオレンジ色の建物が下宮

次の段落でご紹介するように、ベルヴェデーレ宮殿上宮には現在でもウィーンを代表する貴重な作品が多数展示されており、常設展のほかに企画展も実施しています。現在では下宮も美術館として利用されていますが、人気があるのはやはり上宮の方で、下宮はバロック建築の豪華な内装など部屋そのものがメインのようです。詳しくはこちら(英語のみ)。

ベルヴェデーレ宮殿の展示作品

さて、ここからはベルヴェデーレ宮殿上宮美術館に展示されている作品をご紹介します。

注目はなんと言ってもクリムト!

まずご紹介したいのはなんと言ってもクリムト!独特の作風と女性の描き方が本当に美しく、ベルヴェデーレ宮殿に来る前からとっても好きな画家の一人です。そんなクリムトの代表作と言われているのが下の写真「接吻(The Kiss)」です。

ベルヴェデーレ宮殿上宮美術館に展示されているクリムトの「接吻」

クリムトの絵は金色がたくさん使われているのですが、実際に近くで見てみると使われている絵の具が光に反射して実際にキラキラ輝いていて、写真で見るのと美しさが段違いでした。これはどんなに書いても伝わらないので、ぜひ実際に見てみてほしいです!

ベルヴェデーレ宮殿上宮美術館に展示されているクリムトの「接吻」を見ている人たち
上宮の目玉作品なので1部屋割り当てられています。モナリザと違ってかなり近くまで寄れます

クリムト作品はそのほかにも多く展示されています。女性を描いた作品ばかりかと思っていたら、自然を描いた作品も多数あり、どれもとってもかわいい。お土産売り場にブックマークや絵葉書などが売ってあり、何点か購入しました。

日本語タイトルがわからなかったものは英語にて。原タイトルはすべてドイツ語です。

「接吻」と並んでクリムトの作品として有名なのが「運命の人」。クリムトはドイツの画家ですが、この作品の原題は”Femme Fatal”、フランス語で「運命の人」となっており、プチ興奮しました。

ベルヴェデーレ宮殿上宮に展示されているクリムトの「運命の人(ファム・ファタル)」
「運命の人」。そこそこ見ている人が多く、前から撮れなかった件

とってもかわいい下の絵画はタイトルを見てギョッとしたのですが、クリムトの晩年の名作「処女」です。色合いがほんとうにかわいくて、一緒に行った友達は新居に飾るように大きめのコピーをショップで購入していました(題材が題材なので最後まで悩んでいましたが、最終的にはかわいさに負けたようです笑)。

ベルヴェデーレ宮殿上宮美術館に展示されているクリムトの絵画
「処女(Virgins)」

ダヴィドのナポレオンが見られるのも激アツ

次におすすめしたいのが、歴史の教科書にも載るほど有名なナポレオンの絵画です。調べるまで知らなかったのですが、タイトルは「アルプスを越えるナポレオン(Napoleon Crossing the Alps)」というそうです。

ベルヴェデーレ宮殿上宮に展示されているダビドの「アルプスを越えるナポレオン(Napoleon Crossing the Alps)」
「アルプスを越えるナポレオン(Napoleon Crossing the Alps)」

思っていたよりもずっと大きく、何よりウィーンでこの絵に出会えるとは思っていなかったので、素敵なサプライズでした(ナポレオンはフランス初代皇帝。フランス大陸封鎖などオーストラリアとはいろいろあったのに)。ナポレオンのお抱え絵師だったダヴィド先生の絵はどれも本当にすばらしい。

ウィーンらしい絵画も多数

そのほかにも、ウィーンならではの絵画も多数展示されており、美術館のサイズ(大きすぎない)、内容ともに個人的には大満足でした。

こちらはマリア・テレジアとフランツ一世、その子どもたちを描いた絵です。マリア・テレジア皇帝一家の絵画は、ウィーンのシェーンブルン宮殿などパリのヴェルサイユ宮殿など様々な場所に展示されており、この絵画を見たのはベルヴェデーレ宮殿が初めてでした。

ハプスブルク家関連の絵画

ベルヴェデーレ宮殿上宮美術館に展示されている「マリアテレジアとその家族」
ハプスブルク皇帝一家の絵

なおマリア・テレジアは生涯で16人の子どもを産んでいますが、家族絵画に描かれるのは生きている子どもだけなのだそうです(シェーンブルン宮殿で聞きました)。

お次はフランツ・ヨーゼフ1世と「シシィ」の愛称で知られる皇后エリザベート。フランツ・ヨーゼフ1世に見初められたことがきっかけで皇后になったシシィは、皇后の地位をまったく望んでいなかったようで、そのため公務はまったく行わず遊び呆けていたのだとか。そのため民衆からまったく人気がなかったそうですが、その美貌とドラマチックな最期を迎えたことなどが相まって戦後に映画化されたことをきっかけに大人気に。今ではウィーンの至るところでシシィのグッズなどを見かけます。

ベルヴェデーレ宮殿上宮美術館に展示されているフランツ・ヨーゼフ1世とシシィの肖像画
フランツ・ヨーゼフ1世と皇后エリザベート(シシィ)

一方のフランツ・ヨーゼフ1世は、世界史でも知られる名君で、激動の19世紀後半のオーストリア帝国を治めました。勤勉で毎日4時に起きて祈祷後、すぐに仕事に取り掛かるほどだったそうです。フランツ・ヨーゼフ1世とシシィにかかわる一連のストーリーは、シェーンブルン宮殿とシシィ美術館のガイドにて学びました。どちらも内部の写真撮影がNGのため、特にブログにする予定はありませんが、どちらも本当にストーリーが濃くてものすごく勉強になりました。世界史好きのわたしとしては、壮麗な内装などよりこれらのガイドを聞けたことに対してお金を払ってよかったなという感じです。

話を戻してベルヴェデーレ宮殿の上宮美術館ですが、フランツ・ヨーゼフ1世とシシィの時代にコレクションされた作品はすべて赤い部屋に展示されています。

エゴン・シーレ「The Embrace」

恥ずかしながらベルヴェデーレ宮殿に来るまで名前も聞いたことなかったのですが、ウィーンに生まれた夭逝の天才エゴン・シーレの作品も何点か展示されていました。

初めて見ると少しドキッとする作品ですが、とても力強いタッチでとてもきれいです。そしてタイトルがいい。

ベルヴェデーレ宮殿上宮美術館に展示されているエゴン・シーレ(Egon Schiele)の絵画
「The Embrace」

2023年1月〜4月に東京都美術館でエゴン・シーレ展が開かれるようで、気になる方は行ってみてもいいかもしれないですね!

ゴッホ「オーヴェル近くの平野」

ベルヴェデーレ宮殿に収蔵されているゴッホの絵画も1枚だけ見ました。作者を見なくてもゴッホだとすぐわかるこの感じ。ゴッホが自殺する直前に描かれた作品で、彼にしては珍しく横長のキャンバスに描かれています。

ベルヴェデーレ宮殿上宮に展示されているゴッホの「オーヴェル近くの平野(The plain of Auvers)」
「オーヴェル近くの平野」

見ているだけだと単にきれいな農園の風景だと思ったのですが、説明によると、この広大な広がりはゴッホの絶望や孤独を表しているのだそう。全体に少し陰った色味をしているのもそのためなのかもしれません。

宗教画エリアも充実

最後にご紹介するのは宗教作品。わたしはどの美術館に行っても宗教画はあまり興味が持てないのですが、ベルヴェデーレ宮殿の宗教作品は一風変わったものが多く、珍しく目を惹かれました。

たとえばこちら。日本語タイトルはわからなかったのですが、どうやら15世紀後半に作られた作品らしく、その時代のものが今持ってこの鮮やかさで残っていることに驚きました。

ベルヴェデーレ宮殿上宮に展示されている「Znaimer Altar」
「Znaimer Altar」

展示室の天井に届きそうな巨大な絵画や銅板に彫られた作品などもあり、どれも精緻で目を見張るものばかりです。

そしていつもは素通りするであろう宗教画の中でもわたしが興奮したのが「Samson’s Revenge」(日本語は「サムソンの復讐」でしょうか)という作品です。サン=サーンスのオペラ「サムソンとデリラ」で有名なあのサムソンです。

ベルヴェデーレ宮殿上宮美術館に展示されている宗教画
「Samson’s Revenge」

この絵画は、ペリシテ人に両目を潰され奴隷としてこき使われていたサムソンが、もともと持っていた怪力をついに取り戻し、その場にいた数千人のペリシテ人をやっつけ自身も命を落とす、という壮絶な場面を描いたものです。躍動感にあふれる作品で、タイトルを見た瞬間に「おお、あのシーンね!」と納得の描写力でした。

建物自体が見事なベルヴェデーレ宮殿

ベルヴェデーレ宮殿の上宮美術館は、もともと皇帝の離宮として造られていただけあって、建物自体がとても美しいです。白を基調とした内部は大理石でできており、同時期の他の建物に比べ華美すぎない点が個人的に好きでした。

ベルヴェデーレ宮殿上宮の階段

2階は1階とはまた趣が異なり、部屋ごとに異なる見事な天井画を楽しむこともできます。

ベルヴェデーレ宮殿上宮美術館のホール

ベルヴェデーレ宮殿のアクセス:ウィーン中央駅から歩いて10分ほど

ベルヴェデーレ宮殿は1番最初にも書きましたが、ウィーン中央駅から徒歩でも10分ほどの好立地にあり、下の写真の通りを奥に進み建物が切れて見えるところがベルヴェデーレ宮殿です。

ウィーン中央駅からベルヴェデーレ宮殿へ続く道
手前に見えている丸窓が並ぶ建物はMOONSというホテル。今回こちらに2泊しましたが、ウィーン中央駅から3分ほどで本当に便利でした。

また広いベルヴェデーレ宮殿を取り囲むように路面電車の停留所がたくさんあり、ホーフブルク宮殿やウィーン国立歌劇場がある中心地へも路面電車で15分ほどで行けます。ウィーンは本当にコンパクトな街です。

オンラインチケット予約が安くておすすめ

最後に、簡単にベルヴェデーレ宮殿のオンライン予約についてご紹介します。

オンラインチケット購入はベルヴェデーレ宮殿公式HPのチケット販売ページから。言語は英語とドイツ語しかないため、以降は英語表記にて説明します。チケットの種類は以下5種類。金額は2022年11月現在のもので、一般料金のみを示します(65歳以上の高齢者や26歳未満の学生などには割引価格が適用されます)。

  • Upper Belvedere(上宮のみ):15.9€
  • Lower Belvedere(下宮のみ):13.9€
  • Belvedere 21(ベルヴェデーレ21のみ):8.9€
  • 2 in 1 Ticket(上宮と下宮):22.9€
  • 3 in 1 Tichet(全部):24.9€

* 他にも年間チケットとFriends Membershipチケットがありますが、観光者向けではないので割愛

なお当日チケットオフィスにてチケットを購入することもできますが、その場合チケットの値段が高くなってしまいます。例えばUpper Belvedereチケットですと、オンラインだと15.9€なところ、チケットオフィスでは18€と少なからぬ違いがあるのです。

実際に予約に進んでいただくとわかるのですが、上宮が含まれるUpper Belvedere、2 in 1、3 in 1の3種類のチケットの予約時に上宮入場時間を選択する必要があります。やはり上宮が人気なのですね。

チケットの種類、入場日時、料金種類を入力したら次のページへ進み、簡単な個人情報を入力しクレジットカードで支払えば完了です!非常にわかりやすいサイトなので、特に迷われることはないかと思います。

チケットとなるQRコードはメールで送られてきますので、メールアドレスはくれぐれもお間違いのないように。QRコードはメールに添付される形ではなく、Belvedere TicketというURLをクリックするとPDFが開ける仕組みになっているので、当日ネットが繋がらない方は事前にPDFのスクリーンショットを撮っておくか、印刷しておくことをお勧めします。

なお予約の埋まり具合ですが、ハイシーズンである8月でもかなり空いており、かなり自由に予約時間を選ぶことができました。ウィーン楽友協会や、ウィーン国立歌劇場の方がずっと限られたスロットからの選択でしたので、もし行かれる予定の方はこれらを先に予約してからベルヴェデーレ宮殿の予約を取るのがよいかと思います。

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7年間の会社員生活ののち、2023年からフリーランス。会社員時代は年に5~8か国を旅行。フリーになってからは長期滞在で暮らすように旅行中。2023年6月バンコクに新築コンドを購入。最新の旅の写真はInstagramで投稿。

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