芸術の都パリには大小様々な美術館があります。その中でもっとも有名なのはルーブル美術館かと思いますが、個人的にはオルセー美術館の方がずっと好き。モネの睡蓮に浸れるオランジュリー美術館も唯一無二ですが、美術館としてはサイズが小さすぎて少し物足りなさがあります。
その点オルセー美術館は所蔵作品が充実しているのはもちろんのこと、元々は駅舎として使われていた建物も素敵ですし、ルーブル美術館ほど混みすぎていないのもよき。一つひとつの作品をじっくり味わうことができます。
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オルセー美術館とは
オルセー美術館はセーヌ川の南側にある美術館。フランス語ではMusée d’Orsey(ミュゼ・ドルセー)といいます。セーヌ川を挟んで対岸にはチュイルリー公園とオランジュリー美術館があり、美術館のはしごも簡単です。
現在美術館として使われている建物は、1900年のパリ万博に向けて建設され、同年7月14日(!)に駅舎として誕生しました(7月14日はフランス独立記念日です)。
駅舎にはホテルも併設されており、世界中の銀行家などに利用されていたようです。第二次世界対戦開戦までは、パリと西南フランスをつなぐ鉄道の拠点として活用されていました。
その後1973年1月1日のホテル閉館と同時に、美術館として利用する構想が持ち上がりました。構想当初から「19世紀後半の作品を展示すること」をメインに据えられていたようで、HPには明確には記載されていませんでしたが、駅舎設立前からこの土地で19世紀の激動のパリコミューン時代を見つめていたことに由来しているのかなと思いました。
現在のオルセー美術館は1986年12月1日に当時のミッテラン大統領立ち会いのもと開館しました。
オルセー美術館の見どころ
オルセー美術館は主に3つのパートに分かれています。地上の入口からすぐの地上階に展示されているのが、1880年以前の彫刻と印象派以前の絵画です。
彫刻はかなり大きめのものもあり、スペースにゆとりを持って広々と展示されています。
変わりどころでは、1875年竣工のパリオペラ座の立体模型なども。数日前にパリオペラ座に行ったばかりだったので興味深く観察しました。
一段上がったホールの左右(2階)には、1880年以降の彫刻と現代アート(L’Art Nouveau)にカテゴライズされる絵画が展示されています。
有名なミレーの「落穂拾い」もこのエリアで見ることができます。
印象派とポスト印象派の作品
オルセー美術館の5階は印象派とポスト印象派の作品展示となっています。わたしがオルセーに来た1番の目的も5階の作品を鑑賞すること!10年以上前にも一度来ていますが、改めてその充実ぶりに驚来ました。
ルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」の実物はかなり大きくて、細部までしっかり見ることができます。
ゴッホの自画像の1つも展示されていました。なおゴッホは絵の練習のために自画像をたくさん残しており、その多くはアムステルダムのゴッホ美術館で楽しむことができます。
モネの「日傘を差す女性」は2枚がオルセー美術館に所蔵されていました。
モネの「睡蓮」はニューヨークのメトロポリタン美術館や、なんなら日本でも観ることができますが、「睡蓮の池」は「睡蓮」とはまた違った趣で本当に美しい。一連の睡蓮作品のモデルとなっているパリ郊外のジヴェルニーにずっと行きたいと思っていますが、今回も叶わず。今度こそ絶対に行く。
ドガの「バレエのレッスン」。ドガが描く女の子は本当にかわいくて美しい。
なんだか見たことある絵だけどなんか違う…と思ったら、こちらはスーラの代表作品「グランド・ジャット島の日曜日の午後」の習作5点。なんとすべて点描で描かれています。
「グランド・ジャット島の日曜日の午後」自体は大きめの一枚絵で、1つひとつの点ももっと細かいのですが、習作で描かれている点はもっと粗め。こういう練習を経てあの大作ができあがったのだなぁとしみじみします。
唯一残念だったのは、オルセー美術館所蔵の「ピアノに寄る少女たち」が観られなかったこと。数日前にオランジュリー美術館でこの作品のオリジナル版(色味調整前のもの)を観ており、その記憶のままに最終盤の作品を観たかったのですが、願い叶わず。学芸員さんに訊いてみると、絶賛貸し出し中でした。
オルセー美術館の企画展
オルセー美術館の2階では常時企画展を行なっており、追加料金なしで誰でも入ることができます。わたしが訪れた時にはムンク展が開かれていました。
ムンクの作品はこれまでにも何点か見たことがありましたが、「叫び」を見たことはなかったので予期せぬ出会いでした。
オルセー美術館のシンボル時計
オルセー美術館の5階には駅舎時代からの名残である大時計があります。時計があるホールは常に照明が暗くなっているため、外の明るさと相まって常に逆光状態。これが本当にかっこよくて、入れ替わり立ち替わり色んな人が記念写真を撮っています。
オルセー美術館のカフェ
同じく5階にはカフェも併設されています。値段も市中のカフェと変わらないので、歩き疲れたらここで一休みしてもいいかも。サンドイッチなどの軽食も提供されています。
わたしが行った時は3組ほど待ちが発生していましたが、写真の通りかなり座席数があるため5分ほどで案内されました。
わたしのおすすめはシナモン入りのホットチョコレート(chocolat chaud à la cannelle)。ホットチョコレートはパリの多くのカフェでいただくことができますが、シナモン入りは見かけたことなし。9月でもかなり涼しい日だったので、とても温まりました。
オルセー美術館の営業時間
- 月曜日:休館
- 火曜日:9:30〜18:00
- 水曜日:9:30〜18:00
- 木曜日:9:30〜21:45 *最終入場は21時
- 金曜日:9:30〜18:00
- 土曜日:9:30〜18:00
- 日曜日:9:30〜18:00
オルセー美術館の入館料
わたしが実際にチケットを購入した際はまったく気にしていなかったのですが、改めてオルセー美術館の入館料ページを見てみると面白いことになっていました。なぜオンライン購入の方が高い…?
料金種別 | オンライン購入 | 現地購入 |
---|---|---|
通常料金(大人) | 16€ | 14€ |
割引料金 | 販売なし | 11€ |
夜間料金* | 12€ | 10€ |
わたしが行った時は平日の昼間だったからか、チケットオフィスもあまり並んでいませんでしたが、10年以上前に土曜日の午前中に訪れた際は大変な列だった記憶があります。圧倒的にオンライン購入の方が楽でいいと思うのですが、2ドルの差は地味に大きいですし、複雑な気持ち。
無料入館の条件
なおパリの他の多くの美術館と同じく、オルセー美術館でも条件を満たせば無料で入館することができます。
- 毎月第一日曜日の無料開放日(要事前予約)
- 18歳未満
- 18〜25歳のEU長期滞在者
- 「教育パス」保持者
- 障害者とその同伴者
- 求職中の人
- “Cartes Blanches” のメンバー
- 「オルセー美術館友の会」もしくは「オルセー美術館アメリカ友の会」の会員
旅行でパリを訪れる方が狙えるのは毎月第一日曜日の無料開放日くらいかと思いますが、もしタイミングが合えば16€が浮きますので戦略的に利用できるといいですね。なおこの無料開放日はオルセー美術館に限らずパリの多くの美術館で実施されています。
オルセー美術館ではそのほかにもグループガイドツアー、ロダン美術館との共通入場券など様々なチケットを用意しているので、気になる方はHPをご一読ください。
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7年間の会社員生活ののち、2023年からフリーランス。会社員時代は年に5~8か国を旅行。フリーになってからは長期滞在で暮らすように旅行中。2023年6月バンコクに新築コンドを購入。最新の旅の写真はInstagramで投稿。
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