前回までの4話で、バンコクに旅行に行ったはずが、なぜか新築分譲のコンドミニアムを買ってしまった顛末をお話ししました。より臨場感が伝わるよう、わたしたちが遭遇したことをそのまま順番に書いたのですが、それゆえに特定の項目を取り上げた時にわかりづらいこともあったかと思います。また、わたしたちがリアルタイムで体験していた時にはわからなかったけれども、色々調べたり聞いたりして後から総合してみるとようやく理解できた、ということもたくさんありました。
そこでシリーズ最後の記事では、バンコクで物件購入を検討したいという方に向けて、わたしたちが経験したことを改めて時系列でまとめるとともに、知っておいた方がよいあれこれについてご紹介したいと思います。
本記事はシリーズ5話目です。過去4話を未読の方は先に以下をご覧いただけると、より内容がわかりやすいかと思います。
・バンコクで新築分譲コンドミニアムを契約した話|①物件探しからモデルルーム内見まで
・バンコクで新築分譲コンドミニアムを契約した話|②2回目内見とスピード決断
・バンコクで新築分譲コンドミニアムを契約した話|③頭金送金のゴタゴタ
・バンコクで新築分譲コンドミニアムを契約した話|④契約書全ページに手書きのサイン
前置き
本記事ができるだけ多くの方の参考になればと思い筆を取っていますが、誤解のないよう2点前置きをさせていただきます。
まず、この記事を執筆している筆者は不動産のプロでもなければ、タイの法律に詳しいわけでもありません。また、タイ語もわかりません。記事中で「タイでは〜」や「タイの法律では〜」「タイの物件は〜」といった書き方をしますが、これはわたしがタイ人の営業担当や契約担当の方から聞いたことや、今回購入した物件の資料に書かれていたことをもとに書いています。実際にタイの法律の裏取りをしているわけではなく、また将来変わることもあるかと思うのでその点はあらかじめご留意ください。
2点目は、わたしがタイ(というか海外)に不動産を購入したのはこれが初めてであり、あくまでN=1の経験に基づく話であるということです。タイの中でも地域やディベロッパー、営業会社などによって、法律・慣習、売り方・買い方などが異なるかと思います。わたしがここでご紹介するのは、あくまでわたしたちが経験したり調べた限りこうだった、というものであることをご理解ください。
・・・と前置きが長くなりましたが、はじめていきたいと思います。
契約までを時系列で整理
QAの前に、1話〜4話で紹介したストーリーを時系列にまとめてみます。
Day 1
- Lazudiというポータルサイトから問い合わせ
- 営業担当から連絡あり、パンフレット送付いただく
- モデルルーム内見予定日の調整
Day 2
- 日本人の友達とごはん。翌日モデルルームに行くことを話し、一緒に行くことに(どうでもいいw)
Day 3
- モデルルーム内見1回目
- 予算や間取りタイプについてすり合わせ、4部屋の見積もり作成を依頼
Day 4
- 4部屋の見積もり受領。上層階だからといって金額が高くならないことを知る
Day 5
- モデルルーム2回目突撃(予約なし)。営業担当が飛んでくる
- いろいろ質問、オプションの交渉
- 購入を決めて予約金支払い&予約書締結
- 家に帰ってから沸々と湧いてきた気になりごとをリスト化(23時ごろまで笑)
- 直近のキャッシュフロー改善のため投資信託解約
Day 6
- 前日リスト化した気になりごとを営業担当に長文メールで質問(不動産固有の英単語がわからず苦戦)
- 日本円送金準備(Wiseの口座に現金を集約させ始める)
Day 7
- 営業担当から回答あり
- Wiseの日本円口座から送金できないことが発覚(日本円送金の場合、日本の銀行口座しか選べないことが判明)
- Wiseから米ドルの送金開始(この日は頭金の半分弱ほど)
- 直近のキャッシュフロー改善のため株も売り始める
Day 8
- 頭金の残金をWiseで送金
- 昨日送金した金額の一部が夕方に先方銀行に着金
- 全振込伝票をPDFダウンロードして営業担当に送る
- 引き続き株を売る
- 多数の高額送金を不審に思ったWiseから確認メールあり、資料を揃えて即回答→即OKで問題なし
Day 9
- 予約時にわたしの名義のみで購入することになっていたものを、共同名義へ変更するために、予約書の書き換え(追って詳述)
- 23時ごろに契約書のドラフト受領
- 続々と先方銀行に着金(Wiseで通知あり)
Day 10
- 契約書ドラフトすべてに目を通す
Day 11
- モデルルームを再訪し契約書にサイン(全ページに手書き)
Day 12
- 帰国
Day 13
- 頭金全額がディベロッパーの口座に入る(Wiseで通知あり)
Day 14
- 頭金支払いの領収書受領
改めて振り返ってみても、なかなかに濃い2週間。特に物件予約をしたDay 3から頭金支払いを終えるDay 8までは本当にバタバタでした。そして初海外物件購入なのに、ほぼ何も調べず、他の物件を内見せずよく買ったものだなと思います(何度も言いますが勢いって怖い…)。
バンコク物件購入に関するQA
さてここからいよいよ、バンコクでの物件購入に関するあれこれについてQA形式で回答していきたいと思います。
Q:タイでは外国人は土地を買えないと聞きました。なぜコンドミニアムは購入できるのですか?
A:はい、タイの法律で外国人は土地の購入ができないことになっています。そのため、タイで外国人が自分の土地に家を建てるといったことはできません。しかしコンドミニアムの場合は一部屋買ったところで土地を売り買いできるわけではないので、外国人の所有も認められています。
ただし、すべてのコンドで外国人所有割合は49%までと決められており、また売り出される時点で各部屋が外国人向けかタイ人向けか決まっています。これは交渉でどうにかなるものではないので、外国人としては外国人に割り当てられた物件の中から購入することになるかと思います。
関連用語:Foreign Quota(外国人割当、外国人用の物件)、Thai Quota(タイ人割当、タイ人用の物件)、Unit(各部屋)、Property(物件)、間取り図(Unit Plan)
Q:契約は日本語でできますか?
A:基本難しいのではないかと思います。わたしたちの場合、契約書はタイ語と英語で記載されており、こちらからの書類はすべて英語で送りました。タイ人からしてみれば、日本語なんて数ある外国語のうちの1つでしかなく、物件購入者割合としても決して日本人は多くないので(圧倒的一位は中国人だそうです)、ディベロッパー側にとって日本語版契約書を用意するメリットはほとんどない気がします。
日本の仲介会社を通す場合、もしかしたら仲介会社が日本語訳をつけてくれたりするのかな?と思ったりもしますが、どうなんでしょう?最近は各種翻訳サービスの精度も高くなってきていますので、英語を翻訳にかけるのが現実的かなと思います。わたしの夫はGoogle翻訳でがんばって読んでいました。
関連用語:Sale and Purchase Agreement(売買契約書)
Q:購入金はいつ支払いますか?
A:わたしたちが購入した物件では、3つの支払いタイミングがあります。
- 予約金(10万バーツ):予約時にクレジットカード支払い
- 契約金&頭金(物件購入金額の25%):予約後1週間以内に銀行振込
- 残金支払い:物件完成時に銀行振込
現状2.まで完了しているステータスです。予約後1週間以内とありましたが、契約書には契約金が予約の1ヶ月後、頭金が予約の2ヶ月後までと記載がありました。この辺りのことについては前に詳しく書いているので割愛します。
関連用語:Booking / Reserve(予約)、Booking Fee(予約金)、Contract Fee(契約金)、Down Payment(頭金)
Q:頭金はどうやって支払いましたか?
A:契約金と頭金を同時にWiseで支払いました。詳しくはバンコクで新築分譲コンドミニアムを契約した話(全5話)|③頭金支払いのゴタゴタをご覧ください。
Q:「外貨送金証明書」とは何ですか?また外貨送金証明書は誰がどうやって発行しますか?
A:外国人がタイで物件を購入する場合、タイバーツではなく必ず外貨で支払う必要があります。外貨なので日本円でもよさそうですが、わたしたちが使っている銀行では日本円からタイの銀行に送金ができなかったため、米ドル一択となりました。
外貨でタイの銀行に送金を行うと、受け取った銀行が外貨送金証明書を発行してくれ、購入者はそれを登記時にタイの土地局に提出しなければなりません。わたしたちはまだ頭金を支払ったのみで全額の支払いはまだまだ先なので、また登記のタイミングになって詳しく書けることがあれば書きたいと思います。
関連用語:FET =Foreign Exchange Transaction(外貨取引)、FET-form(外貨取引証明書)
Q:外貨送金時に気をつけることは何ですか?
A:何よりもまず気をつけなければならないのは、上でも書いた通り、タイバーツではなく外貨で支払うことです。外貨の種類に決まりはないようですが、日本人の場合米ドルほぼ一択になるのではないかと思います。
そして次に、すべての送金において備考欄に送金目的を記入すること。具体的には「For purchasing condominium unit no [部屋番号] in [プロジェクト名] of Mr. / Ms. [購入者名]」といった記載をします(営業担当から具体的な指示があるかと思います)。この記載がないと入金通知や外貨送金証明書を発行してもらえない可能性があるので気をつけてください。
また外貨で支払うため当然ですが、日によってレートが異なるので、もし選べるのであれば少しでもレートがよそうなタイミングで送金できるといいですね。
関連用語:Credit Advice(入金通知)
Q:共同名義にした理由はなぜですか?またどうやったら共同名義にできますか?
A:予約時に「どっちの名前にする?」と訊かれた際は、やり取りするのがわたしになるので夫ではなくわたしの名前で、と伝えて予約書を交わしました。しかし後で調べてみると、共同(50/50)で購入するのに一人分だけの名義の場合、日本の税法上の脱税(生前贈与脱税)になってしまう可能性があることに気がつき、共同名義とすることにしました。
予約書の書き換えが必要だったため、もらっていた原本に夫の名前も追記し、わたしのサインをその横に書いてスキャンしたものを営業担当に送りました。契約書にはわたしと夫の名前がすべての場所に書かれています。
また送金時の備考欄記載にて、購入者名として共同名義とする全員分の名前を書いておく必要があります。
Q:登記は誰がどうやって行いますか?
A:ネットで軽く調べたところ、タイの土地局の書類はタイ語オンリーとのこと。自分たちでは絶対にできないのでどうしたらいいんだろうと思い営業担当に訊いてみたところ、ディベロッパー側がまとめて行ってくれるとのことです。FETなど必要書類を出す必要はあるかと思いますが、ひとまず一安心。
関連用語:Transfer of Ownership(登記、名義人変更)
Q:固定資産税は払う必要がありますか?
A:タイでコンドミニアムを購入すると、床面積割合に応じた土地が分配されます。その土地面積に応じて固定資産税を支払う必要があるそうです。調べたところ、タイの固定資産税は日本と比べとても安いようで、年間数千円で収まりそうでした。
Q:家具はついていますか?
A:日本と異なり家具付きで中古に売り出されることも多いタイのコンドミニアムですが、新築時点で家具がついているお部屋もあります。わたしたちは残念ながら家具なしのお部屋にしましたが、狙った間取り・向き・階数で家具付きのお部屋が残っていれば、家具付きにしたかったです。
関連用語:Fully furnished(家具付き)
Q:タイでローンは組めますか?
A:不可能ではないものの、かなり条件は厳しそうです。営業担当によると、外国人がローンを借りる場合タイに2年以上居住実績があることが最低限必要だそうで、わたしたちの場合は到底クリアできそうにないので諦めました。
2年間居住をクリアした上で審査に通るのは6〜7割だと営業担当は言っており、利率は聞いていませんが当然悪いんだろうなーと思っています。
さいごに
全5話に渡る長編シリーズをお送りしました。1話から読んでくださった方には特に深く御礼申し上げます(実はこんなに分割したのははじめて)。
新築分譲のコンドミニアムのため、入居できるようになるためまだまだ時間がかかるのですが、新情報があれば(そしてそうなってほしくはないですが、何か問題が起きたりしたら)都度記事にしていきたいと思います。
それにしても、参考にできる情報がネット上にあまりにも少なかったのですよね。日本人の方は日本の仲介会社を通すのが一般的なのでしょうか…?契約後にメジャーな仲介会社をいくつか見てみたのですが、どこも竣工済みの物件しか取り扱っていないように見えました。わたしが購入した物件はすでに8割売れていたので、竣工後だと相当売れ残りのお部屋しかないような気もするのですが、どうなんだろう?
最初にも述べた通りN=1の経験しかありませんが、バンコクにはこれからも頻繁に行く予定ですので、何かお役に立てることや気になることがあればコメントやinstaのDMなどでご連絡ください。ではまたの機会に。
記事作成には膨大な時間と労力がかかっています。少しでも「面白い」「役に立った」と感じていただけましたら、応援いただけると幸いです。1文字2円、100円から応援できます。定期的にご支援いただける方を対象とした「メンバーシップ」プラン(100円/月〜)ではブログにご支援者のお名前を掲載いたします。
7年間の会社員生活ののち、2023年からフリーランス。会社員時代は年に5~8か国を旅行。フリーになってからは長期滞在で暮らすように旅行中。2023年6月バンコクに新築コンドを購入。最新の旅の写真はInstagramで投稿。
お知らせ:アジア各国で見つけた雑貨を近々オンライン販売する予定です。本サイト「ゆっこぷー・どっとこむ」でもお知らせ予定ですので、ご興味を持っていただけた方は、サイトをブックマークいただくか、上のボタンからInstagramをフォローいただけると幸いです。販売前の商品を個別に先行販売(10~15% OFF予定)することも可能ですので、どんな商品があるか気になる方はお気軽にDMください。